人生論

人生は運で決まるのか

僕はこれまでの人生を通じてずっと心に引っ掛かっている問題の一つに「人生というのはどれくらい運に左右されるのだろうか」というものがあります.

自分が小学生くらいの頃は「人間はみんな平等」とか「努力すれば道は開ける」みたいな感じのぼんやりとしたメッセージが学校教育であったりアニメや漫画を通じて僕たちに流れ込まされてきました.当時は,幼心に「ふーん,そういうもんなんやな」と素直に信じていたわけですが,実際のところ,現実の社会は「生まれによる圧倒的な格差」や「努力しても自分の力じゃどうにもならないようなこと」がまだまだ数多く存在します.

小学生くらいなら,なんとかごまかせるかもしれませんが,中学生や高校生くらいになれば自ずと社会の不合理について理解し始めるはずです.(つまらない例で恐縮ですが,自分も高校に入ってはじめて,「私立の中高一貫校は中学時代に高校のカリキュラムを進めて,大学入試に備える」と知り,大きなショックを受けたことを覚えています.僕の中学は荒れていて,中三になっても中二の内容をやっているような学校だったのでなおさらでした.)

だから高校時代の僕は「この世に生まれてまもない年少者にはきれいごとばっかり言うけど,結局のところ世の中なんて生まれた時から人生なんか決まってるようなもんやんけ.しょーもない.そんなんやったら,生まれてきたくなんか無かったわ.」と思ってました.

実際,このようなことを考えたことがある人というのは少なくないのでしょうか.高校を卒業して5年がたった今でも,僕は人生なんて甘く見積もっても95%以上が自分の努力ではどうにもならない要素(≒運)で決定されているように感じます.とはいえ,今の僕は高校時代の時ほどはニヒリスティックでもなくなりました.(完全にそうでなくなったわけでは決してないのですが.)それは95%の運のうち90%くらいは正直,それほど気に留めるようなことではないと思えたからです.詳しく説明します.

最初に言っておくと,僕は人生における運の役割をかなり強調していますが,努力(とそれによる成果)を否定しているわけではありません.実際,いままでほとんど勉強をしたことがなく,テストでもクラスの最下位争いするような高校生が一念発起して,猛勉強の末,次回のテストではクラスの平均点以上が取れた,というような例は山ほどあるでしょう.それ自体は素晴らしいことなんですが,結局それはある地域の同じような学生が通う学校の,せいぜい3,40人くらいのクラス内だけの話であり,同世代の日本人学生全体の中で見た時の勉強前後における順位の差はそれほど大きくないでしょう.言いたいのは,努力でなんとかできる場面もたくさんあるし,実際にそれを実感することもできるのはそうなんですが,それと比べると運で決まる要素というのはあまりにも大きい,ということなんです.例えば,こういう話題をするとき,当然のように「同世代を生きる日本人」という暗黙の前提を科しがちですが,「人生」というテーマは,時代や国籍に囚われるべきものではないために,「どんな時代・どんな国に生まれるか」という大きなスケールから語りはじめなければならないと思うのです.

とはいえ,不思議なことに人間これくらいのスケールの話になると,「正直,そこはどうでもいいよ」となっちゃう.

「そこまで行くと話をしにくくなるから,とりあえず「同世代の日本人」という枠の中で話をしようよ」となる.

僕が言いたいのはつまるところ,人間は自分の生活の近しい部分で自分の人生の評価を行っているということなんです.人というのは,カタールの石油王のもとに生まれた御曹司に対してはそれほど嫉妬心を抱かなくても,自分の学校で一番の美形の生徒には強烈に敵愾心を抱いてしまうんです.

だから,「人生は95%以上運で決まる」とは言ったものの,その運95%のうち,90%くらいはあまりにも自分の日常生活からかけ離れたことで正直どうでもいいことなんです.アフリカの飢餓で苦しむ子どもたちやアメリカの大富豪たちに対しては,ニュースで見たときに,ちらっと「かわいそうだな」とか「うらやましいな」と思うだけの人が大半だと思います.そういう人たちよりもずっと身近な,スポーツ神経が抜群の友人や,スタイルのいい友達に対してのほうがずっと生々しく「うらやましい」とか「自分はついてないな」という感情を持ちやすいんだと思います.ただ,結局のところ,これらはたった5%程度,彼らのほうが運が良かった(悪かった)から起こったことであり,それくらいであれば自分の努力で少しはカバーすることも可能なのかもしれません.そうであるならば,自分の今おかれた場所で少しは頑張ってみてもいいかな,と思えた次第です.

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