人工知能

外国語を学ぶ必要はなくなるのか

人工知能の中には自然言語処理という分野があります.自然言語というのはプログラミング言語に代表される人工(形式)言語に対して,私たち人間が普段使うような日本語や英語,中国語といった一般的な意味での言語のことです.そして,この自然言語処理というのは,人工知能が特定の言語を使ってテクスト(ここでは音声によるものも含む)を生成したり,加工することを指します.具体的な例を挙げると,GoogleやYahoo!などの検索エンジン,それからSiriやAlexaといったAIアシスタントなどに使われています.すでに,我々の世界でも広く使われているこの技術ですが,現在世界中の企業が競って開発している,あるシステムがあります.それは,機械翻訳です.今でも,Google翻訳といったシステムは存在するのですが,まだまだ実用に耐えるレベルにはありません.(それでも,言語的に似た者同士の翻訳,例えば日本語と韓国語の翻訳の場合,最近では結構正確に訳せるようになりました.このページで試してみてください.)しかしながら,いずれは本格的な翻訳システムが開発されることが予想されます.それでは,もしもそういったシステムが完成した場合,我々は外国語を学ぶ必要があるのでしょうか.

ビジネスシーンを考えて

先に結論から言うと,おそらくビジネスレベルなら必ずしも学ぶ必要はなくなると思います.しかしながら,文化・芸術を理解するためには,絶対に直接その言語を学ばないといけません.また,学校教育から英語学習が完全になくなることにはならないと思います.以下,一つ一つ見ていきましょう.

まず,ビジネスマンにおける外国語学習の必要性についてですが,これはほとんど機械に任せることができるようになると思います.その要因として,ビジネスシーンでやりとりされる情報の特異性が挙げられます.海外の企業とコミュニケーションを図るとき,一番重要になってくるのは,情報の正確性です.もちろん,商品の説明文や契約書などの重要な書類のやりとりには,翻訳が正しくなされているか確認する意味でも,その言語を理解できる人間が必要かもしれません.ただ,簡単な打ち合わせやメールなどのレベルだと,機械に任せても十分に業務を遂行できるレベルにはなるでしょう.また,ビジネスライクという言葉があるように,事務連絡や業務報告といった表面的な交流ならば,機械翻訳システムを使ってもストレスにはならないと思います.

他の場面では…

ただ,これらはあくまでビジネスシーン限定だと考えたほうが良いでしょう.というのも,機械翻訳にも限界があるからです.一番大きな問題はすべての言語対に対して1対1に翻訳することは不可能であるということです.これは,特に文学作品や日常のフランクな会話において顕著な問題です.
文化的背景.翻訳と原著は別作品であるという人もいるくらいです.実際,川端康成がノーベル賞を受賞した際も,賞金の半分を訳者のサイデンステッカーに与えたという話もありますね.また,詩や歌なんかはリズムの問題もありますので,その味わいを残したまま翻訳するというのはまず不可能です.
加えて,実際のコミュニケーションの時のお互いの心の持ちようも.変換に時間がかかるし,音声は機械経由なので,会話にテンポが出ず,直接やりとりしている感じが出ない.(なぜプレゼンは原稿を直接見ないでするのか)
究極的には,変換時間が小数点以下で済む可能性もあるし,機械音声も,自分の声を登録できるような機能が搭載される可能性も否めませんが,それでもAIに頼らないときと同じように心を通じ合わせることは難しいでしょう.

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