ライフハック

海外で必要な英語力のレベル

海外に行きたいと考えている学生や,海外に転勤することになった社会人にとって「とりあえず海外で生きていけるにはどのくらいの語学力が必要か」というのは気になるところだと思います.

海外在留邦人数調査統計によると2017年の集計で、日本人の海外駐在者総数は1,351,970人であり,また,「外国人留学生在籍状況調査」及び「日本人の海外留学者数」等についてによると54,676人もの学生が海外で学んでいるようです(2015年).
人口比にして1%弱もの人々が海外で生活しているわけですが,彼ら彼女らの全員が全員,十分な語学力をもって日本を出て行くわけではありません.

それでも,大半の人は所定の期間を大過なく?現地で過ごし,日本に帰ってきます.
たしかに,テロや自然災害による強制帰国や,ホームシックによる早期帰国もないことはないでしょう.ただ,そうはいっても現地で死ぬことはないです.在外邦人が行方不明になるだけで結構なニュースになるくらい,こういったことは珍しいんですから間違いありません.

…とは言え,「死にはせん」と言ったら話はそこで終ってしまいますよね笑.
たとえ海外で「生きていける」としても,やっぱりどのくらいの語学力があれば,何ができて何ができないのかというのはわかっておきたいところです.(というか,読者の方の大半は「海外=死ぬかもしれない」なんてことは考えないかもしれませんね笑.僕は結構こういうことについて心配するんですが汗)

ということで,今回は自分の体験をもとにして,場面別にどれくらいの英語力が必要か考えてみたいと思います

注:今回は割と長い記事です.自分の必要なところだけ読んでいただければと思います.

まえおき

今回の記事は僕の海外経験をもとにした考察がメインです.
僕の個人的な経験にこだわる理由は,こういった「現場」の話は変に一般化できるものでもないですし,具体的な話のほうがリアリティも増すからです.
ここで話す僕の意見が絶対的に正しいわけではなく,あくまで一つの例として考えていただければ幸いです.

それでは,簡単に僕の海外経歴と英語力を紹介します.細かくは触れませんが,「こいつはこういう体験をもとに言っとるんやな」程度に心にとめておいてください.

主な海外歴
オーストラリア-5週間のホームステイ&語学学校
イギリスー10か月の交換留学
シンガポールー長期インターンシップ(この記事を書いているのは2か月目)

英語力
イギリス直前―IELTS7.0/9.0 (R 8.5/L 7.0/W 6.0/ S 6.0 : 各9.0点満点)
イギリス直後&シンガポール直前―TOEFL iBT87/120 (R 28/L 22/W 17/S 20 :各30点満点)
注:R,L,S,WはそれぞれReading, Listening, Speaking, Writingの意

日常生活の場面

海外旅行をしたことがある人なら,買い物や移動で特別困るということはほとんどないでしょう.
海外に行ったことのない人でも,事前にネットで滞在先の買い物や交通情報についてのサイト・ブログを十分に確認しておけば問題ないはずです.

日常生活ではそういったことよりも,引っ越しや,家の契約,病院での診察といった単発的な出来事をどう切り抜けるかといったことが重要になってきます.ただ,そうはいっても,1対1でやりとりするのにそこまで高い英語力が必要なわけではなく

・たとえ聞き返すことがあったとしても,相手がゆっくりと話してくれれば大体の内容は理解できる(これくらいのレベルの内容が理解できればOKです).
・自分が言いたいことを,キーワードをつなげて伝えることができる

といったことができれば,切り抜けることは可能だと思います.(正直,相手にもよるんですが…)

ただ,そうはいっても結構な度胸がいるということと,正確性が重要になってくることが多いということを考えれば,英語に自信がない人は日本人向けのサービスを使ったり,誰か英語ができる人に通訳を頼んだ方がいいかもしれません.
それに,相手側からしてみても,下手な英語を使ってコミュニケーションをとる人間より,英語を全く話さず,通訳を通じてしか話さない人間のほうが,何か威厳があるように見え,なめられたり,足元を見られるリスクを減らすことができるんですね.

留学(コースワーク)の場面

海外の大学の授業というと,膨大な読書量を想像される方も多いかと思います.確かに,留学では読む力が重視される場面も多いので,まずはReadingについてみてみましょう.

自分で言うのもアレなんですが,僕のReadingのスコア(IELTS8.5, TOEFL 28)というのは,英語の試験(もちろんReadingに限った話ですが)においてほとんどゴールみたいなもんなんですね.このスコアがあれば,OxbridgeだろうがIvy leagueだろうが,英語力で落とされることはないってくらいのレベルなんですよ.(くどいようですが,Readingのみの話です)

ところがです.「じゃあ,それだけのスコアをとれば,洋書をペラペラ読めるようになるのか」と聞かれると,残念ながら「はい」と肯定することはできないんですよ,残念ながら.同じ内容の本でも,普通に和書を読む倍近くの時間がかかります.それに,本の内容が専門的になってくると,本の内容が理解できないとき,自分の英語力が足らないのか,それとも専門知識が足らないのかの区別がつきにくくなり,その分余計時間がかかってしまう.

とはいえ,ある程度専門に関する語彙を身につけると,本を読んでて「まったく理解できない」という事態には.なかなかならないでしょう.(全くないとは言いません)それよりも,読むのに時間がかかって仕方がないというところに悩まされると思います.

・・・

ここで,留学をする方はほぼ確実にIELTSかTOEFLのどちらか,または両方を受験するはずなのでちょっと言わせてほしいのですが,「試験のための勉強」しかしないのは結構危険なんですよ.これらの試験はあくまで,日常の一場面を切り取ったものでしかありません.ネイティブスピーカーですら満点近くを取るのは難しい,きわめて限定的なシーンに基づいた試験なんです.
だから,自分なりに例えば,「Youtubeで50分の英語での講義をフルで聞く」とか「外国人の友達とチャットしたり出かけたりする」とかしていないと試験の英語とリアルな英語のギャップに苦しめられることになると思います.

これとは逆に,ただ留学しているだけでは,そういった試験のスコアは留学後も大して伸びないですね(実体験).やっぱり,英語試験は英語そのものの能力に+αとして試験の傾向に合わせた対策をしないと,なかなか満足できるような高スコアは取れませんね…

・・・

話が逸れました.元に戻りましょう.
「リーディングに比べると,リスニングは苦手」という学生は僕だけでなく,日本人に一般的な傾向だと思います.
そんな僕らにとって,ナチュラススピードの英語を長時間聴き続けて授業内容を理解するのは正直,かなり厳しいものがあります.

とはいえ,心配しなくても大丈夫です(多分).
日本の大学の授業に比べると,特に欧米圏の大学はしっかりと体系だったプログラムを提供していますから,別途,読んで理解できる教材も与えられるはずです.それらの教材を読めば,必要なことはちゃんと書かれているはずですから,試験対策は普通にできるでしょう.「でも,それって根本的な解決方法じゃないよね?」って聞くのは…勘弁してください笑.

そして肝心の試験についてですが,ここでは専門能力はもちろん,ReadingとWritingの能力も試されます.
特に海外は記述式の設問が多いですから,時間との勝負になってきます.
正直,すべての設問に満足いく回答をすることは難しいかもしれません.自分が解きやすい問題から手を付けていくことが重要になります.

また,授業によってはエッセイの提出やプレゼンテーションが課されることもありますが,これらに関しては単純に時間をかけて準備すれば何とかなることも多いです.

最後に,一言だけ言っておくと,バリバリのディスカッション系クラスやグループワークを除けば,ぶっちゃけSpeakingはできなくてもコースワーク自体は何とかなってしまいます笑.

結局,コースワークについては「いい成績を取るのは難しいが,単位を取ることは十分に可能」といえそうです.

ビジネス・アカデミック(研究室)の場面

この場面は,専門能力があれば多少カバーできるとはいえ,やっぱり高度な英語力がないときついと思います.4技能がバランスよく必要になります.具体的な例を出すと,このようなかんじです.

 自分の分野に関する文書を,辞書を使わずに9割方読み取れる能力
 10人程度が出席する,30分間のミーティングで話の展開を大枠で聞き取れる能力
 自分のやっているプロジェクトについて3分間即興で話せる能力
 簡単なメールの返信を10分以内に書ける能力

別にこの基準になにか根拠があるわけではないです.ただ僕の実感として,これくらいの英語力があれば,まず問題なくやっていけるはずです.逆にこれくらいの英語力がないと,仕事云々以前の問題になってしまいます.

とはいえ,決してこれで十分だといってるわけではありません.上に挙げた基準をクリアしたとしても,依然英語でのパフォーマンスというのは日本語の時と比べて低いままですから,英語力の向上は日々続けていかなければなりません.英語力を上げることで,自動的にパフォーマンスの質も上がる(というよりも,日本語使用時のレベルに回復する)わけですね.

いずれにしても,この場合で海外に来る人の多くは,どうしても日々の生活が忙しく,単純な英語学習に割ける時間というのが持ちにくくなってしまうので,やっぱり日本を離れる前に英語力を伸ばしておくべきだと思います.

カジュアルな場面

同僚とのランチや,学校のクラブ活動なんかのリラックスした場面(casual conversation)です.基本的にはここが一番難しいです.

当然ですが,まずは圧倒的にリスニング&スピーキングが重要です.しかもかなり高度なレベルの.
仮にそこまでのレベルに達していなかったとしても,1対1との会話は相手が合わせてくれるので,それで何とかなるかもしれません.ですが,グループトークになると死にます.こういう時は,変に会話に入ろうとするよりも適当に相槌をして,話の変わり目で軽く質問を入れたりするのが効果的でしょう.

カジュアルな場面の難しいところは英語力だけではダメだという点です.文化的な背景(コンテクスト)を知らないと,そもそも日本語であってもわからない,というようなトピックが延々と話されている場合があります.中級程度の英語力だと,どこまでがそういった話題で,どこからが一般的な話題なのか区別するのが難しいですから,結局うまく会話に混ざることができなくなってしまいます.

また,「英語力だけではダメ」というのは自分が話す場面においてもそうです.自分も語れる内容がないと,相手は仕事でしゃべってるわけではありませんから,すぐに相手にしてくれなくなります.

ただ逆に言うと,多少英語力が低くても,相手が優しくて,自分が非言語的なコミュニケーションが得意であれば,それなりに楽しむことは可能です.(それでも,本当に心が通じ合うほどの親友を作るのは難しいかもしれません.)

まとめ

僕がこれまで体験してきた場面ごとに必要な英語力について一通り述べてきました.

最後に一つ,アドバイスしておくと,海外に行くうえで大事なことは現地でも戦えるような強みを持つことです.たとえば,「プログラミングの能力なら誰にも引けを取らない」とか「中高通じてテニスをやった」みたいな感じで,英語を使わずとも,目に見える形で能力を示せるものをもつことです.
何か他人よりも秀でているところがあれば,たとえ多少英語ができずとも,心に余裕をもってコミュニケーションをすることができます.そしてこういった場面で場数を踏み,現地の人との付き合い方を学ぶことで,他の場面でも応用できるようになってきます.

逆にそういったものがないと,「英語もできなければ,能力もない」とみなされて,かなり苦しいことになると思います.
別に,会社や学校でそんな感じになってしまうのはある程度仕方ない面もあると思います.
ただ,それ以外の時間でなにか現地の人とフランクにコミュニケーションがとれる場がないと精神衛生上よくないでしょう.居場所ができないと,ふさぎ込んでしまったり,日本人同士でしかコミュニケーションをとらなくなってしまいます.

ちょっと脅しちゃいましたが,もしあなたが「自分には何もない」と思っていたとしても,大丈夫です.あなたは日本語ができるじゃないですか.
だから,たとえばこんなサイトで言語交換(お互いの言語を教えあうこと)のパートナーを見つければ,現地の人と交流を図ることは可能です.(別に現地の人じゃなくて,近隣の国からきている外国人でも構いません.)
最初は本当に小さなところからでいいので,少しずつ世界を広げてみてはどうでしょうか.「自分の世界を広げる」という気持ちさえあれば,きっと,いずれは現地の人となじめるまでに成長できるはずです.

・・・

とまあ,いろいろ書いてきたんですが,僕個人の意見としては,英語を身につけに海外に行くのではなく,勉強した成果を試しに海外へ行くものだと思っています.だから,本音を言うと「こんな記事見なくても,自分の英語力やったら十分やっていけるわ‼」と言えるレベルまで英語力を上げてから海外に行くのが,望ましいと思ってます.
急な転勤とかだったら,仕方ないのですが,ある程度出国までに時間がある場合は,それまでに必死に英語を勉強してください.

どうしてこんなことを言うのかというと,何事も最初が肝心なんですよね.到着時点である程度英語が使えれるのであれば,どんどん人脈も広がってやりたいことをやれるのに対し,最初に躓いてしまうと,挽回するのは大変です.つらいかもしれませんが,英語の勉強頑張ってください!

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