人生論

背伸びはすればするほどいいのかー後編ー

進むか退くか

前回,自分が取り組んでいる,ある物事において一歩上の世界へ足を踏み入れたとき,アイデンティティの危機に陥る可能性があることを指摘しました.

こうなった場合,考えられる選択肢は2つです.このままその道を進むか方向転換するか.
まずは,同じ道を進み続ける場合について考えてみましょう.正直,これは逆境に打ち勝ったことがある人や自分のアイデンティティが他の領域で確保されている人じゃないと相当厳しいんじゃないかと思います.ただ,これは逆に言えば,よっぽどそれが好きな人だとも言えます.こういった人は,おそらく他人との競争というよりも,むしろ自分自身との闘いになるのかもしれません.もう一つは,自分のアイデンティティを自分個人ではなく,自分の属するグループに帰属させることです.たとえ,グループの中では劣位にあっても,社会的にそのグループが高い評価を受けているならば,そのグループの一員である自分という名乗りをすれば,多少気持ちに余裕が出るのではないでしょうか.もっとも,この考え方は時として危険なのですが.(自分に何の自信もないひとがただ「日本人」であるというだけで,変な優越感を持ってしまうようなことです.)

今度は,方向転換する場合について考えてみましょう.
ただ,別に方向転換するといっても,その対象から全くもって離れることだけが方向転換なわけではありません.対象との距離感を保ったまま,現状を打開する方法もあります.
たとえば,新しい評価軸を持つというやり方があります.AとBの組み合わせ.FとNの組み合わせ.
物事の組み合わせというのは無限大にあるわけだから,「この評価軸とあの評価軸,それとこれらの評価軸をあわせたもの」の複合評価なら誰だって世界一になれる.もう一つは,少数のプレイヤーしかいない世界で勝負すること.
結局凡人が,「自分にしかない価値」を見出すのには,「めちゃくちゃマイナーなもの」をやるか,「いくつかの評価軸を組み合わせたもの」をやるか,この二つしかないと思います.
最後のやり方としては,いっそ競争することを辞めてしまうことです.これは他人との競争だけでなく,自分との競争も含みます.

立ち止まってしまうもう一つの要因

さて,かなり長くなりましたが,これが「背伸びの是非」を考えることに至る一つ目の要因でした.

もう一つの要因が,「そもそも,この分野で背伸びする意義や大義がない」「この分野で自分が成長していったところでどうにもならない.先が見えている」と感じてしまうときです.
ただ,こっちの要因に関しては,一つ目の要因よりもあっさりと話を進めることができます.
まず,頑張る大義がない場合については,背伸びする必要はないと言い切れると思います.時間は有限ですから,意味のないことに力を注ぐ必要はありません.自分の中の優先順位の高いものから力を注いでいくべきです.また,先が見えない場合についてですが,これはつまるところ,その対象に関することをほとんどマスターしたことにほかなりません.そうでもなければ,「先は見えた」なんて言えないはずです.自分がやっていることに対して,大きな全体像を描き,その中で客観的に自分の位置をマッピングできるからこそ,先が見えてくる.このレベルに達してしまうと当然,背伸びをした結果のメリットというのも正確に予測できてしまう.人間というのは結果が見え透いたものに対しては敬意を示しません.ずっと欲しい,欲しいと思っていたものを,いざ手に入れてしまうと,急激にそれに対する興味を失ってしまうことと似ています.それは,ありがたみがなくなってしまったからに他なりません.

全体を通じて

以上が,僕の考える「背伸び」について考えるターニングポイントでした.
さて,ここから全体を振り返ることで何がわかるでしょう.
まず最初に言えることが,一つ目の要因の時,すなわち自分がレベルアップして次のステージに進んだ結果,自信を失ってしまったとき,どういう結果になろうとも,わりと簡単にその経験をポジティブなものにすることができるということです.

そして,二つ目の要因,背伸びする意義やその先が見え透いていて努力する気が起きないということからは,背伸びはゴールが決まっていないからこそ素晴らしいということです.

つまり,結論としては「背伸びはすればするほどいいのか」というのは自分の優先順位によるが,「際限なく背伸びができる」という状況というのは,非常に素晴らしいことなんだということです.

自分でも,こんな結論になるとは思ってなかったのでびっくりです笑.

関連記事

  1. 人生論

    背伸びはすればするほどいいのかー前編-

    「ちょっと背伸びをしてみよう」という考え方があります.自分のキャパシテ…

  2. 人生論

    コンプレックスと向き合うー容姿前編ー

    はじめに人間,誰しも大なり小なりコンプレックスを持っていると思…

  3. 人生論

    全てがくだらなく思える時がある

    どうでもいいと思える時 ほかの人にも起こるのかはわからないの…

  4. 人生論

    人生は運で決まるのか

    僕はこれまでの人生を通じてずっと心に引っ掛かっている問題の一つに「人…

  5. 人生論

    恋愛に夢を見たい

    自慢じゃないのですが,僕は22歳にしてこれまで一度も恋愛経験というもの…

カテゴリー

最近の記事

おすすめの記事

  1. 人工知能

    コンピュータサイエンスと学校教育
  2. 人生論

    恋愛に夢を見たい
  3. 自己

    完全に忘れたことは無かったことと同じか
  4. 人生論

    コンプレックスと向き合うー容姿前編ー
  5. その他

    イギリス交換留学体験記ー大学編ー
PAGE TOP